先輩から逃げる方法を探しています。



「あーあ。負けちゃった~」


リレーが終わり、すぐに翼ちゃんのところへと行った。

有無も聞かず、手を取っていつもの場所へと連行する。

クラスメイトと一緒にいるのは居心地が悪いけど、翼ちゃんと一緒にいるのは居心地が良い。


「でも2組も抜いたじゃないですか」

「1位じゃなきゃ意味ないでしょ」


頑張ってみた走ったものの、結果は2位。

やはり青組を追い抜くことはできなかった。


「まさか先輩が真面目に走るとは思わなかったです」

「折角出るんだからそりゃ走るよ~。本当は1位になって翼ちゃんにかっこいいところ見せたかったけどねぇ」


なんて。

1位になったところで翼ちゃんは俺のことなんてどうとも思わないんだろうけど。

寝転がった俺の上に翼ちゃんはぽんっと何かを置いた。

置かれたものを手に取ると、透明な袋の中に入っている数本の棒キャンディが見えた。


「何これ…棒キャンディ?」

「はい。先輩が好きと言っていたので」


確かに前に好きだと話した覚えがある。

翼ちゃん、覚えててくれたんだ。

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