先輩から逃げる方法を探しています。


部屋に入ると、ベッドが2つと大きめの机と椅子がある。

部活の合宿でこんな立派なところに泊まれるとは思ってもいなかった。


「先生はお部屋を見て回ったりするけど、伊坂さんはどうする?」

「私は部屋で勉強しています」

「あら、偉いわね!わからない問題があったら先生になーんでも聞いてね!」

「本当ですか。ちょうど良かった。今日の授業で1つわからない問題があったんですよ」

「何かしら?」


なぜかわくわくといった表情で待ち構える先生。

だが、私が鞄から数学の教科書を取り出すと、その表情は一瞬で消えた。


「先生、数学は専門外なの。それじゃお部屋を回ってきまーす!」

「先生…」


逃げるように部屋を出て行く。

なんでも聞いていいと言ったのに。

そういえば先生ってなんの教科を担当してるんだろう。

数学ではないことはあきらかにわかったけど。

< 68 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop