日だまりの雨
陽光くんが居たのは、数分にも満たない短い時間だった。




きっと今頃は、いつもみたくバスケしてるのかもしれない……。




陽光くんが立ち去った後も、




そんな風に陽光くんのことをぼんやり考えながら、




わたしは雨音の隣に座っていた。




時々、




わたしの方をチラチラ窺ってる雨音に、宙に浮かせっぱなしだった視線を合わせた。




眼鏡越しに見える瞳はおんなじなのに、




……なんでわたしの隣に居るのは、雨音なんだろ。




陽光くんへの淡い想いを隠すように、




「雨音って、どんくらい目悪いのっ?」




出来るだけ自然な声で、雨音に話題を振った。




「目……?」




唐突に口にした質問が不可解だったのか、雨音は怪訝そうに首を傾げた。




何気に気になってたんだよね。



雨音の眼鏡。




本を読んだら眠くなる体質の雨音が、




眼鏡をかけてるっていうのが不思議だった。




本を読まなくたって目が悪い人だって居るだろうけど、




少なくとも双子の陽光くんは目が悪くないみたいだし……。
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