契約書は婚姻届
きれいに片付けられた家の中。
週二回、尚一郎の依頼で来ている家政婦がきっと、片付けているのだろう。
冷蔵庫を開けると奥さん連中の差し入れなのか、タッパがいくつも入ってた。

「……おはよ」

朝食の準備ができる頃、シャツの下から手を突っ込んで、腹をボリボリ掻きながら洋太が起きてきた。
それが懐かしく感じ、ついつい苦笑いしてしまう。

「……おはよう」

ふぁーぁ、でかいあくびをしながら、洋太が洗面所に消えていく。
味噌汁をよそい始めた明夫に、慌てて箸を準備すると、変わらず以前の場所に入っていて、安心した。

「じゃあ、いただきます」

「いただきます」

「いただきます」

テーブルの上に並んだのは、味噌汁にご飯、それに目玉焼きとひじき。
ひじきは冷蔵庫のタッパから出していた。
< 224 / 541 >

この作品をシェア

pagetop