契約書は婚姻届
「僕はね。
朋香を妻に迎えたとき、神様に誓ったんだ。
絶対に朋香を守って、幸せにしてみせるって。
朋香の幸せの中には、お義父さん、洋太くん、それに工場のみんなも含まれてる。
それを全部全部、守ってみせるって誓ったんだ」

泣き出しそうに笑う尚一郎に心臓を強く握られているかのように胸が痛く、苦しい。

かつて愛した人間に、あそこまで怖がられるのはどんな気持ちなんだろう。
そんなことがあってなお、自分との結婚を決めた尚一郎の心は計り知れない。

……やっぱり尚一郎さんが好き。
離れたくない。

――しかし。

「でも、万理奈の話を聞いて、怖くなっただろう?
朋香が僕と別れたいというなら止めない。
僕には止める権利がないから。
ああ、僕と別れてもお義父さんの工場……」

「なんでそんなこと云うんですか!?」

ぼろぼろと涙がこぼれ落ちていく。
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