契約書は婚姻届
ピッ、通話を終えて渡された携帯は、すでに電源が切ってある。

「夜はゆっくり寝ましょう?
朋香のその酷い顔色、なんとかしなきゃ。
尚一郎には明日、起きた頃に電話したらいいわ。
ちょうどそれくらいに寝るはずだし」

「はい」

にっこりときれいな三日月型に口角を上げて微笑む侑岐に、つい、ぽーっとなってしまう。

促されて布団に潜り込むと、ぎゅーっと侑岐に抱きしめられた。

「私じゃちょっと、役者が足りないとは思うけど。
枕よりは尚一郎の代わりになると思うわ」

ぱちんとウィンクされると、恥ずかしくて頬が熱くなっていく。
それでも、その夜は夢も見ないほど、ぐっすりと眠れた。
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