契約書は婚姻届
「今日はもう、休むといいよ。
明日は少し、出かけよう。
お休み、Mein Schatz」
 
これ以上、追求させないかのように、眼鏡の奥の目がにっこりと笑い、仕方なく部屋を出る。

自分の部屋に戻ると、尚一郎のことが喉に刺さった魚の骨のように、朋香の胸に引っかかっていた。
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