君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
「急に、見知らぬ場所に連れて来て、初対面の弟に会って、情報量もハンパないのに、そうやって美味しそうにご飯が食べられるって、すごい事だと思うよ、姉さん、肝が座ってる、そういうところ、父さんにちょっと似てる」

「そうなの?」

「父さん、よく言ってた。ご飯をちゃんと食べられるうちは大丈夫だって」

 一度も会ったことの無い父に似ている、と言われると、自分の中には礼門と共通な部分があるのだなと思う。この短い期間で、私は弟を好ましく思うようになっていた。

「それね、母さんも言ってた。ご飯はちゃんと食べなさいって。……一緒に食べられない事の方が多かったけどね」

 私は、特別同情をひくつもりで言ったわけではなかったのだけれど、素直にそう言った。

「姉さん、これからは、僕がいるから、僕、姉さんとご飯食べるから!」

 瞳をうるませながら礼門が言い、

「素子さん、おかわり、いりませんか? お味噌汁もまだありますからね」

 征治さんも、何となく目の回りをうっすら赤く染めながら言った。

 ……いや、そういうつもりでは、なかったんだけど、なー……。
< 24 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop