貴方の残酷なほど優しい嘘に
「・・・最低!」

「え?まさか、ゆかさん俺が本気だと思ってたの?そんなわけないじゃん、俺まだ16だよ。まだまだ色んな女の子と遊びたいし」

限界だった、もういくばくも持たない、気を抜いたら今にも涙が溢れて止まらなくなる。

「もうあんたなんか顔も見たくない!出てってよ!」

もう少しだけ

彼が居なくなるまで

もう少しだけ待って

誠は立ち上がり出て行った。

扉が閉まるのと同時に堰を切ったように涙が溢れ出し、頬をつたう。

「ゴメン、ゴメン、ゴメン、ゴメン・・・」

向かう所の無いその言葉は壁に当たって虚しく消えた。



あの時

私が携帯を掴み損ねなかったら

彼の指が送信ボタンに当たらなければ

あの時

私が『冗談だよ』って笑っていれば

彼をこんなに傷付ける事はなかった



私に泣く権利なんてない

私に彼の為に出来る事なんて無い

私にはもう彼を傷付ける事なんて出来ない

ごめんね

私は弱いから誠の優しさを受け止められなかった

いつかきっと

誠の優しさを受け止めてくれる素敵な人が現れる

その時はその優しさをその子にそそいであげて

サヨナラ




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