この愛、スイーツ以上
重要な任務
さあ、今日から私が働く場所はここだ。

副社長室のドア前で大きく深呼吸をしてノックをすると、安田さんの声が返ってきた。


「おはようございます。本日からよろしくお願い致します」

「吉川さん、おはようございます。今、副社長は社長室に行っているので、待っていてくださいね」


安田さんしかいなかったので、少し心を軽くした。髪が軽くなっても心は軽くなっていない。昨夜寝る前からずんと重くなっていた。

総務部から昨日帰りに運んできたノートパソコンは真新しいデスクの上にある。それに電源を入れてから副社長が来るのを待った。

副社長のデスクは窓際に置かれていて、安田さんと私のデスクよりも一回り大きい。

そこから二メートルくらい離れた右壁側に安田さん、私の順でデスクが並ぶ。間に安田さんがいてくれることに安心する。

副社長の声が聞こえる位置にいて、出来るだけ離れている方がいい。程よい距離感は大事だ。

自分勝手な結論付けをしているとドアが開いて、副社長が入ってきたので姿勢よくして立ち上がった。
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