優等生、中川君。

さよなら正人






「こころー!おはよおーっ!」


朝机に座っていると、ゆかりが勢いよくきた。



「あぁ、おはよ」


「…大丈夫なの?」


「なにが?」


「いや…昨日の」


昨日のとは、正人の事で。


「大丈夫だよ。」


そう言って、笑うとゆかりも笑って、自分の席へ行った。




ガタン



自分の席の右側から、イスを引く音がする。



「…おはよう、中川君。」


「おはよう。」


昨日とは違い、いつも通り眼鏡をかけている中川君。


「学校でコンタクト、しないの?」


「朝、時間ないからね」


中川君はイスに座りながら、そう言った。



「ふぅん…」



ちょっとだけ、眼鏡を取りたくなった。


机の上に寝そべって、中川君を見る。


「ね、中川君」


「…ん?」


中川君はまた、本を読もうとしているところだった。


「決めたよ、あたし。」


「…そう」



「頑張れって、言ってくれないかな。」


「…それが、終わった後なら言ってあげるよ。」


「それ?」


「こころさんと、こころさんの彼氏とこころさんの彼氏のこころさんとは違う彼女。」



「…ややこしい言い方したね」


「たまにはね」



ふ、と笑って中川君はまた本を読み始めた。





そうだね、頑張るよ。


泣かないよ。負けないよ。



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