優等生、中川君。





───…「なにしてんの」


校門の手前、誰かに呼び止められた。



ビクッとした…。



「な、中川君…どして…」


「いや、別に。」


別にな訳ないでしょう、あなた。

校門まで用事なしに来るなんてありますか…。



「…気をつけて。」


ふいに彼が出した言葉。


「……え……あ、うん、、。」







それだけ言うと、中川君は後ろを向いて、校舎へ戻って行った。






不思議に思いながらも、あたしは学校を出る。



空はあいにく、どんより曇っていた…。



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