幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
「玲音、ひとのクラスで、イチャついてんじゃねーぞ!」


「そうだよ、お前、サッカー上手くてモテモテなうえに、
可愛い彼女までいて! ずるいんだよっ」



「女子からのバレンタインのチョコ、朝から断り続けてるだろ! 
少しはこっちにもよこせっ」


サッカー部の沢田や青木が騒いでいるのを見て、
佐々木ちはるが、眉をあげてニヤリと笑った。


「なるほどね、そういうことか!
受け取るのは、りり花のチョコレートだけってことね?」


返事をする代わりに、ペットボトルに入ったお茶を飲みほした。


「あのさ、如月、雰囲気変わったよね」


佐々木が俺の顔を、まじまじと覗き込む。


「入学したころは、あんなに可愛かったのにね? 」


「なんだよ、それ」



「今朝の昇降口での事件、噂になってるよ。
“やっぱりりり花と如月はつきあってるんだー”って」



顔が赤くなるのが自分でもわかり、
佐々木に背中を向けた。


「ま、如月も大変だよね。りり花、なんにも分かってないからさ。
だから、そのくらいでちょうどいいと思うよ。

しっかりとガード固めておかないと、
りり花、知らない誰かに持っていかれちゃいそうだもんね」


「……わかってるよ」



みんなにチョコを配っているりり花を見ながら、
小さく呟いた。



そこにりり花が戻ってきた。


「はい、これはちはるちゃんに! 
いつもありがとう」


そう言って、りり花が青いリボンのついた小さな箱を佐々木ちはるに渡した。


「ありがと、りり花! 如月、羨ましいだろ~?」


得意げに小さな箱を見せびらかす佐々木に


「羨ましいよ」


と本音をこぼす。

すると、りり花が明るく笑った。

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