chocolate mint

それに、香織ちゃんは待ち合わせの事を、僕には話してくれなかった。



朝食を用意して、話ができる時間も作ったのに……



だから、この待ち合わせを『知らない』僕は、こうして裏でこっそり話を聞くしかないんだ。



いつもだったら頼りにしてくれない事に凹んで諦めてしまう所だけど、今日だけはどうしても譲れない。誰にどう思われても構わない。



何なら、『Milkyway』での待ち合わせだって決めた菊井(アイツ)にだって感謝をしたいくらいだ。



香織ちゃんに知られる事なく、こうしてこっそり話し合いを見守れる。



……もう、何も行動しないで後悔するのだけは嫌なんだ。



「裕介、あんたの気持ちは充分分かった。……まぁ、落ち着かないでしょうけど、ラテでも飲んで待ってたら?コレ、陽介の奢りだって。『たまには気持ちを押さえずに、思ったまま動いてみなさい』ってお言葉付きだけどね」



目の前のラテには、前にも見たチューリップが描かれている。



視線をカウンターに向けると、陽介さんがこっちを見てフフッと含みのある顔で笑っていた。


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