黒猫-KURONEKO-《短編》

秘書とセクハラ

「皆様お疲れ様です。
社長より申し付けられて参りました」

三島宝石本社の秘書課にもぐりこんだアタシは、
イベント会場の下見に派遣された。
もちろん、下見といっても、秘書課の仕事の「気配り」である差し入れが目的。

今日は、落ち着いた白いスーツ姿で、ブラウンの長い髪をアップにまとめあげていた。
ウィッグとメイクで、かなり大人っぽく変身できた。
我ながら、いい出来!


変身の仕上げは、秘書らしく常に極上の微笑みをたたえること。

警備の人達に労をねぎらい、
社長の指示による豪華な夜食の差し入れを用意した。

もちろん入念な警備体制だから、
本社にアタシの確認の連絡を忘れない。
でも、アタシだって、そんなことでボロはださないもの。

本社に確認がとれ、安心した警備やスタッフの人達は、
争うように料理をむさぼり食べた。

おまけに、
アタシにかいがいしくお茶を入れてもらったり、
お替りを皿に盛ってもらったりと給仕をしてもらい、
ぴりぴりと張り詰めた空気は一掃され、
皆ひと時の休息を楽しんだ。

だけど、
男たちの間をくるくると動き回るアタシから、
注意を離さない男がいた。
< 9 / 36 >

この作品をシェア

pagetop