先生、ボクを飼ってよ
それは冷たく、小さな声だった。
それが、余計に怒っているということを感じさせる。
「ボクはただ……」
「ライバルに会いたいって? あのさ……先生の気持ちも考えろよ。自分勝手なんだよ、お前は」
佐伯さん、本当に怒ってる……?
口調がわかりやすく悪い。
教師としては、注意すべきところだってことはわかってる。
でも、どう言葉をかければいいのか、皆目見当もつかない。
「落ち着け、風香」
私が迷っている間に、田辺君が佐伯さんを瑞貴君から引き離した。
「離せ! 落ち着けるわけないだろ。周りが見えてないアイツに、腹が立ってしょうがないんだよ!」
「周りが見えてないのは、お前も同じだよ。ここがどこか、わからないのか?」
その言葉で、佐伯さんはようやく落ち着いた。
でも、周りの目が、恐ろしく集中していた。
「……場所、変えよう。七海たちも、また今度ゆっくり話そう。またね」
私は七海たちに別れを言い、三人の背中を押して移動した。