先生、ボクを飼ってよ


「そっか、わかった。ごめんね、おしゃべりの邪魔して。またあとで」



風香ちゃんは作り笑いで、教室ではない、どこかに行ってしまった。


ボクが呼び止める暇もなかった。



「風香ちゃん、元気なかった……」


「それをお前が言うか」



……だよね。


修くんの言う通りだ。



「まあ、そこまで気にしなくていいと思うぞ」



修くんはボクの髪をぐしゃぐしゃにして、教室に入っていった。



気になるのに、聞けない。



でも、この状況を作ったのはボクだ。



……聞くべきじゃない。



そう思って、ボクは教室に、会話の輪に戻った。

< 83 / 116 >

この作品をシェア

pagetop