さよなら、嘘つき君。




――ほっ


私の心臓のドキドキは少しおさまり、私もトイレから出ていこうとする。


『あ、いた。こころちゃん発見』

「…成瀬君」

『こころちゃんがリカちゃんにちょうど連れていかれるところ見たから、何かな~と思ってついてきちゃった。大丈夫だった?』


成瀬君を見て、さらに安心してしまった。なぜだろうか。嘘つきの彼を一番信用してないはずなのに、なぜ彼を見ると安心するんだろうか。


『こころちゃん、声が出なくなるほど怖かった?ごめん、ごめん。女の子たちはすぐヤキモチ妬いて、こういうことするから怖かったね』


よしよしと、小さい子を慰めるかのように、私の頭を優しくなでる。



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