私を溺愛してください!
お互いが、お互いを尊重しあうし、甘えたり甘えられたり、ごくごく普通の恋人のような関係が心地よくて、宗吾の婚約者のことなど、すっかり頭から無くなっていた。

…とある平日の午後、私は雑務のため、色んな部署を、駆け回っていた。

仕事が一段落して、社長室から、自分の部署に向かって歩き始めた。

すると、エレベーターから誰かが降りてきた。

私はサッと頭を下げる。

顔は見ていなかったが、下を向く私の目に映ったのは、女性のヒール。

しかも、私の方を向いて止まった。

私は不思議に思いながら、頭を上げた。
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