私を溺愛してください!
3杯目のカクテルを置いた澪が、話し終わった私を、真っ直ぐに見つめた。

「…あの日、宗吾に葉瑠さんを任せるんじゃなかったな」
「…ぇ?」

「…遅くなってでも、俺が葉瑠さんを送ってあげていれば、貴女がこんなにも苦しい思いをする必要はなかったのに」

澪の言葉に、返す言葉が見つからなかった。

だから、ここから逃げることしか思いつかなかった。

「…美味しいカクテルありがとう。それから、話しも一杯聞いてくれてありがとう。そろそろ失礼するわ」

そう言って立ち上がると、澪は、店のドアまで見送りに来てくれた。

「…気をつけて」
「…うん、ありがとう。それじゃあ」

そう言うと、ドアノブに手をかけた。

…?!

すると、その手の上に、澪の手が乗せられ、ビクついた。

「…どうしたの?」
「…また、いつでも話し聞くから」

そう言って微笑まれ、私もなんとか笑みを返した。
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