私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「美味しい、石堂さんのコーヒーは絶品ですね」

「まぁ、あいつは一流のバリスタだし、悔しいくらいに慧が淹れたコーヒーはうまいよ。でも、お菓子作りは僕のほうが上手かな、よかったらこれも食べて」

雅人さんはそういうと、クッキーの入った小袋を私に差し出した。

「これってお店の……もしかしてこれ雅人さんが?」

「そうだよ、店のスイーツ類は全部僕が店のキッチンで作って、店頭に並べてるんだ」

先ほど何気なく店頭にクッキーやスコーンを並べていたけれど、雅人さんの手作りとは知らなかった。雅人さんの作ったクッキーはしっとりしていて甘さもちょうど良く滑らかな口あたりだった。

「コーヒーと合いますね」

「そうでしょ? 午後のお茶タイムはスイーツも結構売れるから、たいてい午前中は買い出しやお菓子作りで忙しいんだ」

雅人さんは満足げに頷いてにこりと笑った。

「それに体力も追いつかなくなっちゃってね、店長を慧に任せたんだ」

面接に来た時の雅人さんは畏まった執事のような印象だった。けれど、こうして砕けた口調の雅人さんもフレンドリーで好感が持てた。

あぁ、雅人さんの笑顔……癒される――。

空腹だったのか、私は気がつくとコーヒーもクッキーもあっという間に平らげてしまっていた。
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