私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「美味しい」

そのひと言が、じわっと胸に染み込んでいく。自分が淹れたわけではないけれど、自分もこんなふうに言われたい気持ちが沸き起こる。

「私、石堂さんのファンなの、一週間に二回はここに来てるのよ。久しぶりに石堂さんのラテアート見たけど、さっき私があなたのこと怒っちゃったから気を遣わせちゃったかな? お礼言っといてくれる?」

「はい」

石堂さんのコーヒーは、どんな人でも幸せにすることができる。そんな石堂さんに、人知れず不思議な魅力を感じてならなかった。
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