悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
白髪の少々混ざった背中までの長い髪を、編み込んでから結い上げ、ダイヤを散りばめた金の髪飾りで留める。

それから髪飾りとデザインを合わせたネックレスを、王妃の首にかけた。

ディナードレスは襟元が大きく開いており、贅沢にダイヤをあしらった豪華なネックレスは、王妃の肌の上で輝いていた。


鏡台に向かう王妃の支度を整え終えたら、私は一歩下がって会釈する。

王妃の私への嫌味は最早癖のようなものなので、今もフンと鼻を鳴らして文句をつけてきた。


「侍女になって三カ月以上になるというのに、まだ手際が悪いわね。バッカス夫人なら、もっと速く上手に結ってくれるわよ」


この部屋にいる侍女は私だけではなく、バッカス夫人も、もうひとりの侍女もいる。

「結い直しましょうか?」と笑顔で歩み寄るバッカス夫人に、王妃は鏡越しに視線を合わせて、「面倒だから今日はこれで我慢するわ」と断っていた。


私は手先が器用な方だと自負しており、王妃の髪も美しく丁寧に結ったつもりでいた。

王妃は髪型を気に入らないのではなく、ただ文句を言いたいだけなのだろう。

嫌味と小言にはすっかり慣れてしまって、不満にさえ思わずに聞き流し、私はひとりドアに向けて歩き出した。

今日の私の仕事はこれでお終いと、言われていたからだ。

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