悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
仕方ないわよね。レオン様には大切な政務がある。もっと一緒にいたいと駄々をこねてはいけないのよ。

それに私にも侍女という役目があるのだから、長居はできない。


彼は私を妃に迎えるつもりであることを、まだ家族にも話していない。

『その前に片付けねばならない問題がいくつかあるんだ。少しだけ待っていて』と想いを通わせた後に言われたので、私も口を噤んでいる。
父への報告もしていない。

片付けねばならない問題については、詳しい説明をされていないけれど、きっとオルドリッジ家を快く思わない者たちに関することだろう。

反対の声が上がらぬように、地ならしをする。そういう意味であろうと予想していた。


「すぐに仕事に戻る」とレオン様が答えて、グラハムさんは一礼してから部屋を出ていった。

名残惜しい気持ちを押し込め、私は席を立つ。

両手をお腹の前で揃えて頭を下げ、「楽しい時間をありがとうございました」と挨拶してからドアに向かった。


彼も立ち上がり、私と一緒に部屋を出る。

私を見送った後に執務室に戻るのだろうと予想したのだが、私の隣を歩き出したので、「え?」と首を傾げて彼を見た。

すると青い瞳が弧を描き、品のよい唇が嬉しい言葉を聞かせてくれる。


「部屋まで送らせて。もう少しだけ、君と一緒にいたいんだ」

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