悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
それで、心配ではあるけれど、私はふたりに会釈して、一馬身ほど後ろにある自室のドアの中へと引き揚げた。


人形のアマーリアだけが迎えてくれる静かな部屋で、私はドアに耳をあてて廊下の様子を窺おうとする。

ところどころしか聞き取れないけれど、王妃が私を王室に迎えることには反対だと、はっきり口にしたのはわかった。

そしてロザンヌ嬢を推している、と。

もしロザンヌ嬢が好みでなければ、他の令嬢でも構わないが、私と母のことは気に入らないというような会話であるように聞こえた。


疎まれているのは自覚しているので、今さら傷つくことはないけれど、レオン様が王妃との対立を嫌って、私のことを諦めたらどうしようという不安は湧いた。


走り出した熱い恋心に、ピリオドを打たれるのはつらすぎる。

ハラハラするあまりに、もっとよく会話を聞こうとして、ドアを指二本分だけ開けて覗いてしまう。

はしたないことだと自覚していても、どうにも気になって我慢できなかった。


見えたのは、均整の取れたレオン様の後ろ姿と、王妃の顔と半身だ。

二歩分の距離を置いて話し込んでいるふたりだが、王妃は視線を壁に向け続けて、レオン様を見ようとしない。

それが、ふと気になった。

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