最後の花火
 差し出された花火を無言で受け取り、紗菜はろうそくの火に向ける。螺旋模様の色紙の巻かれた花火はシュッと音を立ててピンク色の光を落としはじめる。

 そこに横から棒状の花火が差し入れられた。朝陽の花火だった。
 無言でもらい火をした朝陽は、近づけていた花火を自分の正面に向けてなんでもない顔をしている。
 暖かい色に照らし染められた横顔を見ながら、紗菜は思った。次は私から近付いてその火をもらおう、と。

 持っていた花火が終わると、紗菜は新しい花火をひとつそっと選んだ。



  — 最後の花火・了 —


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