覇王と女官の恋~囚われの花嫁~
仕事と恋
「春品様、今日はどうされた
 のでしょうか」

朝早くに春麗が部屋に来た。

「1カ月後に皇后の誕生を
 祝う催しがある。皇帝以上の
 働きをしなければならない」

「はい、存じております。
 春品様と皇后は仲が良いと
 聞いております」

皇帝の催しが終わって1カ月。
次は皇后の催しだ。この国は
催しを盛大にする風習がある。

「今回は、何の担当でしょうか」

「あぁ、今回は演出だ。歌や踊り
 などの構成を立てる。雪蘭は
 皇后の服の担当だ」

雪蘭とは春麗と権利争いをして
負けた方だ。

(要するに、自分より上の身分に
 したくないという事か)

杏はそう察した。

「杏よ、頼みがある。そなた
 踊りは出来るか?」

「はい。見よう見まねですが」

「そうか!!良かった。
 踊りはそなたに任せたいと思っている」

「えっ、私がですか」

意外過ぎて、大声を出してしまった。

「そなたは女官であろう。その女官が
 目立てば部下にも威厳を見せられる
 し、女官の地位が上がるかもしれぬ」

「はい、その通りです。努力します」

「そうか、頼んだぞ」

そういい残し、春麗は出ていった。 

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