イジワル外科医の熱愛ロマンス
パチッと静電気みたいな音がして、テレビが点いたのがわかる。
チャンネルを合わせているのか、ちょっとずつで音声がブツブツと切れて、変わっていく。
そしてようやくまともに音が繋がった。


ほんの少しの間の後、「おい」と短く呼びかけられる。
途端に私は、身動きも忘れて身体を硬直させた。


「雫。お前も風呂入ってくれば? ……って……」


そんな声を背中で聞いていたと思ったら、予期せずして頭上から影が降りてきた。


ハッとして振り仰ぐと、バスローブ姿の祐が胸の前で腕組みして、私の手元をジッと見つめていた。
もちろん今まで見たこともない姿に、意図せず胸がドキッと跳ね上がった。


「なっ、なんて格好で……!」


カアッと頬が火照るのを感じながら、私は思いっきり顔を背けた。


「は、早くちゃんとパジャマを着て……!」

「寝間着なんか持って来てねえよ。このまま寝る。って言うか、お前……」


祐はシレッとそう言って、語尾を尻すぼみにする。
恐る恐る目を上げてみると、祐は私のスマホをジッと見つめていた。
私は慌てて膝の上に押しつける。


「なんで未だに二次元にいるんだ?」
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