中島くんの憂鬱
土曜日と日曜日の年季


僕には、おじいちゃんがいる。


共働きで忙しい両親にかわって、僕を育ててくれた。


なにか道に迷うといつも、熟慮されたアドバイスをしてくれる。


もやもやは更に広がり、今や花を咲かそうとしていた。


とても危険な花を__。


土日でも部活はあるが、どうしても磯野と顔をを合わせたくなかった僕は、家にこもっていた。


ひょとしたら、磯野が訪ねてくるかもしれない。


そんな淡い期待と、来たら来たで、どんな顔をしたらいいのか?


そもそも、今だって頭からあいつが離れない。


あいつのグローブの温もりと、芳しい香り。


僕はもう、どうしちゃったんだ?頭がおかしくなりそうだ。


「なんだ?食欲がないのか?」


おじいちゃんが作ってくれた蕎麦も、喉を通りそうにない。


「あんまり食欲がないんだ」


「どこか具合が悪いのか?」


「体調はいいよ、体調は」


「それじゃ、心の病か?」


「心?」


「そうだな、例えば恋煩いとか」


ほっほっほ、おじいちゃんが笑う。


「笑い事じゃないよ。悩んでるんだから」


「すまんすまん」


熱いお茶を飲んでから、おじいちゃんが尋ねてきた。


「お前は恋をしとるのか?」


僕は返事ができない。


恋?


だって、僕が思い煩っている相手は__。


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