中島くんの憂鬱


「中島‼︎大事な話ってなんだよ?」


磯野がそう言ってやってきた。


なんの変哲もない、磯野。


いがぐり頭の、どこにでも居そうなダサい同級生。


小さい頃からの友人であり、バッテリーであり。


大事な存在。


でも__。


「僕、早川さんと付き合うことになったから」


はにかむ早川さんと頷き合った。


「ええっ⁉︎マジで?」


この世の七不思議レベルで驚いている。それはちょっと失礼じゃないか?


お前に彼女ができたんだ。僕だってできるだろう?


ここ1週間、抱えてきたもやもやは綺麗さっぱりなくなり、代わりに今や粒子となって光り輝いていた。


あれは何だったんだろう?


ただの気のせいか?


「中島くん、一緒に帰ろう?」


「あ、うん」


早川さんが差し出した手を、僕は握った。


「中島、部活どうすんだよ?」


「磯野、ちょっとは察したらどうだ?今日は休むよ」


唖然とする磯野を尻目に、僕たちは手を繋いで歩き出した。


ああそれから、と振り返る。


「磯野、お前のグローブちょっと臭いよ。ちゃんと手入れしたほうがいいぞ」


「く、臭い?」


「臭い。それから僕、ちょっと髪を伸ばすかもしれない」


じゃ、と早川さんの少し汗ばんだ手を握りしめる。


きっと早川さんの手は、良い匂いがするんだろうな。


そんなことを思いながら__。


(玉)




< 33 / 33 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

リアル人生ゲーム(裏)

総文字数/104,225

ホラー・オカルト265ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
サイコロを振れば【死】に近づいていく
死りとりゲーム2-死り神さまの逆襲-

総文字数/83,722

ホラー・オカルト206ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【ルール】 ①しりとりをする ②学校内にあるものに限る ③6人で行う ④【ん】は失格 ⑤答えられないと失格 ⑥失格になれば__? ⑦死り神が現れる ⑧たくさんの死り神が
死りとりゲーム

総文字数/104,529

ホラー・オカルト261ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【ルール】 ①しりとりをする ②学校内にあるものに限る ③6人で行う ④【ん】は失格 ⑤答えられないと失格 ⑥失格になれば__? ⑦死り神が現れる

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop