たった一度のモテ期なら。
男女8人の大所帯となってバーになだれ込んだ。と言ってもおしゃれなバーではなくて気軽なスポーツバーでホッとした。いつものパブの雰囲気に近くて、居心地がいい。

いつもと違うのは半分の4人が女子ってことで、なんとなく男女に分かれていろいろ話した。主に西山の噂話だ。

「ニシってほんとつるむの好きだよね。会社でも同じとか、すぐ想像できる」

「それに仕事楽しいっていつ会っても言ってるから羨ましい。うちなんて同期あんまり残ってないよ」

彼女達の話す『ニシ』は、ぜんぜんブレずに西山だ。同期内と同じように大学のゼミでも人気者らしかったことがわかって、綾香と笑った。

「会社でもモテてる?」

「割と年上に人気あるかな」

綾香がさらりと答える。そうなんだ、それは知らない。去年年下の子に告白されてたのは知ってる。

「2人は? 最初好きになったりしなかった?」

「ないない。恋愛でゴタゴタするの面倒とか言い切ってたし。そのくせ他所で彼女できたり別れたりしてて、あんたの方がよっぽどめんどくさいよって思うけど」

「成長してないー!」

ミキちゃんマコちゃんは顔を見合わせて笑ってから、急に声を潜めた。

「大学のときも他大のかわいい子限定だったの」

「でも友達にも優しいから諦められなくて影で泣いてた子いたんだよ」

女の子扱いしないけど、仲間として優しくしてくれる。

私と綾香が特別なんじゃなくて、いつもどこでもそうなのか。西山らしいなって思ったけど、なんだか少し、ほんの少しだけ、がっかりしたかも。


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