【完】俺がずっと、そばにいる。
帰りのSHRを終えた後のざわざわとした教室。
一部の教科書類を机の中に残して、残りをカバンの中に詰める。
「それじゃ、柚月またねっ!」
琴子が手を振りながら慌てた様子で教室を出ていく。
「うん、バイバイ」
笑顔で手を振り返すと、自分も続いて教室をあとにした。
放課後はいつも、一人で帰ったり、りっくんと帰ったり、たまに琴子と一緒に帰ったりしてる。
だけど、琴子は基本毎日他校の彼氏と待ち合わせしてるから、なかなか一緒に帰れないんだ。
一人で帰るのは嫌いじゃないけど、ナンパされたりおじさんに声を掛けられることがあるから、そういう時は困ったりする。
だから、男友達のりっくんが一緒に帰ってくれると、実にありがたい。
一緒に並んでると、彼氏がいると思われるらしく、誰も声をかけてこないから。
りっくんは玲二くんがバイトがない日は彼と一緒に帰ってるけど、それ以外は私と帰ったりしてる。
私たち、帰る方向もたまたま一緒なんだ。