寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

大事な本だろうから怒られるかも……。
おっかなびっくり本を差し出すと、予想に反した言葉がかけられた。


「気にするな」

「……はい?」


ポカンとする。


「怪我がなくてなによりだ」


そこで大切なことを思い出した。


「――風見さんは? どこか打ってないですか?」


私ときたら自分の体と本にばかり気を取られて風見さんの心配にまで気が回らなかったなんて!


「大丈夫だ。それに、本はすべてここに入ってる」


そう言いながら風見さんがこめかみの辺りを人差し指で突く。
本の内容は、風見さんの頭の中に……。
そう言われて気持ちが軽くなる。


「さすがですね」

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