きっと、ずっと、恋だった。



他愛ない話をしながら学校に向かって。

下駄箱から靴を取り出すのも、この階段を上るのも最後だと思うと実感が湧かない。




「お、今日はさすがに遅刻はいないな」




教室に入ってしばらくすると、いつもよりビシッとしたスーツの先生が入ってきた。




目の前の秋樹の背中。

少し色あせたブレザーも、可愛い襟足も。

もう見納めかぁ。



寂しいなあ、と思いながら見つめていれば、不意に振り向いたその背中。




「見て、綺麗」




秋樹が指差した窓の外に目を向ければ、薄ピンク色の桜の花びらが、風に舞い上がってふわりふわりと地面に落ちる。


何だかすごく綺麗なその景色に、不意に振り返って笑った秋樹に、涙が出そうになったのは秘密だ。





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