ネイビーブルー
3: 最後の体育祭
──それからあっという間に夏休みが終わって。
9月になり、学校が始まった。
2学期の最初の行事は、今週末にある体育祭。
「加奈~!
今2組の子から、超いい話聞いた~」
ニコニコ顔で近づいてくる、同じクラスのミキ。
「な~に~?いい話って」
私は小走りでミキに駆け寄った。
「高橋、クラス対抗リレー出るらしいよ!」
「まっじー!!高橋くん、足速いもんね!」
はっ、嬉しくてつい声が大きくなってしまった。
高橋くんってのは、例の私の好きな人。
ミキは高橋くんと同じ北小学校の出身で
高橋くん情報をゲットすると、教えてくれるんだ。
「私と直哉(なおや)もリレー出るんだから、うちのクラスの応援してよね~」
そうそう、ミキもリレー選手だった。
「分かったよ~ん!
応援しないと直哉もうるさそー」
「俺、そんな子どもじゃないし~」
後ろからヒョイっと、口を尖らせた直哉が現れた。
「うは!聞かれてた!笑」
小学校から腐れ縁の直哉は、運動神経だけはいい。
猿みたいだけど、背も高いし特に下級生から人気あるらしい。
だからじゅうぶん、直哉には黄色い声援が飛びそ~。
「中学最後の体育祭、優勝したいね!」
「した~い!直哉にかかってるからね~」
ミキがケラケラ笑いながら、プレッシャーをかける。
「応援団長、頑張ってねー!」
くじ引きで応援団長になってしまった直哉に、私もプレッシャーを与える。
「おー」
手をひらひらと振りながら、直哉は席に戻っていった。