復讐劇は苦い恋の味
肘で突いてからかってくる朋子に頷くと、彼女は「羨ましい~」と声を上げた。

朋子に君嶋くんとのことを報告すると、泣いて喜んでくれた。

「よかったね」と何度も言いながら。

そんな朋子の姿を見て、私はなんて幸せ者だろうって思った。

私のことを気にかけてくれて、心から幸せを願ってくれる家族や友達がいるのだから。

「それじゃまた明日ね」

「うん、気をつけてね」

外に出たところで朋子と別れ、駐車場を目指す。

するとすぐに見覚えのある車が目に飛び込んできて、自然と進むスピードは速くなる。



中学一年生の時にされたことがずっと心に残って離れなくて、恋愛に臆病になるばかりだった。

このままでは一生誰かを好きになることさえできないと思っていた。

でも彼と再会して、彼のことを知るたびに私の気持ちは変化していって……。

今思うと、もしかしたら私と彼は運命の糸で結ばれていたのかもしれない。

なんてロマンチックなことさえ思えてしまう。
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