全て美味しく頂きます。
「キモッ!とはなんだ。
 さあ,どうする。責任取るのか取らないのか。
 ハッキリするまで、ココから家には帰さないぞ!」

 な、なんてメンドクサイ男だ!

 私は大声で叫んだ。

「あー、分かった,分かりました!
 取ります責任。だからもう2度と言わないで!

 …で,私,どうすればいいの?
 言っとくけど,責任とって彼女になれって言われても無理だからね。私には心に決めた人が…」

「あー,ハイハイ。わかってますよ。不毛なドロドロ恋愛中の女になんて全く興味がありません。
 うーん、そうだな___

 よし決めた。

 オマエ、明日から一週間,俺に毎日,夕飯を奢れ」


「__え?そ,そんなんでいいの?
ショボっ」


「うっさいな,給料日前で金欠なんだよ。  ……うん、それでいい」

「でもさ。
 祥善寺の給料って,私の1.5倍はあるだろうに…」

「いろいろあんのよ、男には。
 ほら,オマエのそのTシャツと朝飯,それにここの代金払ったらもう残高ゼロだ」

 彼は,薄っぺらい財布をペラペラと振って見せた。

「ふぇぇ…まあ、いいけど。そんなんならさ」

 正直言ってラッキーだ。
 もっと無理難題を押し付けられると思っていた私は,心の奥でほっとしていた。

「よし,決まりだな。さあ,次の延長になる前にさっさと出るぞ」
「…うえい」

 サンドイッチとカフェオレの朝食を受け取りながら,私はぼんやりと返事をした。



 私と彼の、一週間が始まった。
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