only


びっくりして目を見開いた。


廊下から今朝の男子生徒がこちらを向いて立っている。


「いや……別に…」



声だけで誰か分かった。



名前も知らなければ、クラスも知らない。


だけどその優しく低い声と、ヒーローみたいに親切な心を私はよく知っている。



ほんの数分だけだったけれど


私の前に希望の光が見えたから、久しぶりに泣きそうになってしまった。




でもまた、この人は私に構ってくれる。



「新学期早々ダメじゃん」



さっきより軽く話す。
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