愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

「それより晃一、いったいあなた彼女に普段どういう教育してんのよ。年上のこの私に向かって可愛いだなんて一丁前に茶化してくるのよ?」

「ほう…梨央、そりゃお前大変だ。目が悪くなってるぞ。1日も早く眼科の方に行った方がいい」

「なんですって!」

「ちょっと……」


この二人本当仲悪い。というより、この感じはむしろ息がピッタリだって思った方がいいの?

まるで漫才コンビみたい。

思わず弦さんに助けを求めれば、やれやれ…なんて肩をすくめ呆れた顔をしているし、これはもはやいつもの光景なんだろうか?


「お二人って、やっぱり似てますよね?」

「どこがよ」
「どこがだ」


ほら、そういうところが…

息までピッタリだと思うけど。

ここまできたらもう笑うしかない。


「あ〜もう!気分が悪いわ。あなた達煩いからさっさと帰りなさいよ」

「ああ、そのつもりだ。とりあえず俺達はこれで。梨央、帰るぞ」


そんなこんなんでお祝いを兼ねた飲み会はお開きに。

飲み足りない人はまだ残っていくみたいなのだけど、敦士さんや唯さんも同じタイミングで弦さんの店を後にすることになり、私達はそれぞれタクシーに乗り込むと「またね」とお別れの笑顔を向けた。

帰り際何故か敦士さんにやたら笑顔で、「よきハッピーライフを」なんて意味深な言葉を向けられて私は首を傾ける。


「あの……」

「たくっ、あの酔っぱらいが…」


そんな敦士さんに対してコウさんはため息を吐きつつも、運転手さんに自分のマンションへと行き先を告げ、ホッと肩の力を抜いていた。
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