人気のないバーカウンターで一人グラスを傾けながら、ひたすら頭の中で些末なことに思考を巡らせているこの時間が私の日課で、いいことがあった日は特に、これが至福となる。しかし、今日はどうだろうか。

この日私は仕事で起きた重大なトラブルをどうにか処理することが出来、終業後こうしてバーになだれ込んだ。飲んでいても、それが発覚した時の体の一気に冷えるような感覚が鮮明に蘇る。一瞬にして頭が真っ白になり、どうにかその固まった脳を叩き起こし、指示を出す。その間はずっと、気づかなかった事への自己嫌悪が続く。ミスがあったのは私の手がけた部分ではなかったが、取り仕切っていた以上、責任を問われる立場なのだ。グラスを置くと同時に無意識に漏れるため息ももう数えきれぬ程であった。

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