「ちょっと、御手洗いへ。」

と言って私は立ち上がる。足元がふらつくが、なんとか店主の差した方向にトイレを見つけ、入る事が出来た。

やはり先ほど飲み干したのが効いている。

こうなってはまもなく吐いてしまうだろうと思い、トイレに駆け込んだのだが案の定で、一気に気分が悪くなり戻してしまった。

気持ち悪い。

頭だけ妙に冷静なのが可笑しい。なのに身体はまるで言うことを聞かない。あぁ、まだ出そうだ。

それから何度か戻してしまい、ようやく吐き気が治った頃、ドアの叩く音がした。

「大丈夫?」

彼だ。

「なんとか」

とりあえず急いで見せられないものを流し、口をすすいだ。その間も足がどうにもふらついて、壁にぶつかったり、転びそうになる。

「開けられる?」

どうにか鍵を開けると、心配そうな彼の顔が見えた。それと同時に足がもつれ私が転びそうになったのを彼は受け止めた。

「飲ませすぎちゃったかな。」

「いいえ、私が悪いのよ。ごめんなさい…」

抱きとめてくれた体温が心地よく、気が遠くなっていく。

いけない、

こんな状態で寝てしまっては迷惑だし、それにこの時が終わってしまっては彼が行ってしまう。


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