君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
声をかけると、静かな寝息だけが返ってきた。澪音は膝の上でそのまま眠ってしまったようだ。安らかな寝顔だけど、よく見ると澪音の顔は前より少し痩せたように見える。


「今日はもしかして、とても無理をさせてしまいましたか……?」


用意したプレゼントのラッピングを開けて、中のマフラーを取り出して澪音の肩にかけた。


「とりあえず、ブランケットの代わりにこれを……と」


澪音に何をあげたらいいのか散々悩んで、一番ベタなものになってしまった気がする。お金で買えるものは全部良いものを持ってるだろうし、かといって私にはプレゼントを手作りするような女性らしい特技もない。


結局、表参道のセレクトショップでマフラーを買ったけれど、車移動の多い澪音はコートも使わないので、マフラーは要らなかったかもしれない。


「澪音の負担にはなりたくないんです。疲れているなら、無理はしないでください」


すやすやと眠る澪音に独り言を言って、再び携帯プレイヤーで澪音の曲を再生した。


クラシック音楽がベースになっているけど、ジャズっぽいものもあり、現代的なテイストの透明感あふれる曲たち。どの曲も、これまで聴いたことのない素敵な音楽だった。


澪音の暖かさを膝の上で感じながら、やがて私も幸せな眠りに落ちていった。



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