ヤンデレくんとツンデレちゃん
するりとネクタイが手首から外される。

そんなに簡単に外れたのだから、言ってたとおりキツくは結んでなかったのだろう。


「どう?」

「え?」

「いま、開放的な気分?」

「当たり前」

「ボクにもっと捕まっていたかったんじゃない?」

「そ……そんなわけないでしょ!」


そんな趣味ないから。


「お望みなら、また捕まえてあげる。今度はもっと逃げにくいように」

「そんなこと望むか」

「さぁ、梁ちゃん。帰ろうか」


アイツがあたしの鞄を持つ。


「自分で持てる!」

「お姫様は荷物なんて持たなくていいのに」

「あたしは、あんたとは……帰らない」

「あんた?」

「っ、まだ名前で呼ばせるの?」

「うん。約束だよ?」

「……愛とは、帰らない」

「どうして?」

「一緒にいたくない」


言い終わったあと、心がズキンといたんだ。
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