千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
輝が"興味津々"って顔で私達の抱えるクーラーボックスを凝視する。 



「そうだよ!輝は試合出るんでしょ、早く行ってきなよ」



「やった!俺、まじで頑張ろ」


スキップで戻る輝にあきれてしまう。



「…輝くんって本当に綾乃ちゃんのこと大好きだよね」



愛海ちゃんが興味深そうに私に言ってくる。
 


「まあ幼なじみだから、家族みたいな感じではあるかな」




「そうじゃなくて」



珍しく語気の荒い愛海ちゃんにびっくりしてしまう。




「恋愛感情のって意味だよ」




「ち、違うと思う。輝は私の好きな人知ってるし」




「……れは



ピピーッ

愛海ちゃんが何か言いかけた瞬間、
七菜先輩がホイッスルを鳴らした。


でも、全然試合に集中できない。



「ごめん、今なんて言った?」



「…ううん、やっぱり何でもない!
ごめんね変なこと聞いて。忘れて!」



ぱっと愛海ちゃんはいつもの笑顔で私に笑いかけた。
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