イノセント

Shalloutも待たせていることだから、できる限り 手短に身体を洗った。

Shalloutからタオルを受け取り、身体を拭くとタオルの色が汚く変わる。

……まだ、汚れを落としきれていないらしいな。

散髪が終わってから また風呂に入ろうか。

「どのくらいまで切るのでしょう?」

先程、父上に切られたままの髪。
長さも疎らで不恰好だ。

「Shalloutに任せるよ。
それと髭も剃ってくれないか?」

「髭剃りは 御自分でできることでしょう?」

「信用している。」

やれやれ、と肩をすくめるShallout。

王宮の中で、Shalloutにだけは我儘を言える。

Shalloutもそのことを察してくれているらしく、嫌々ながらも我儘を聞いてくれる。

「……ッ、御背中 どうなさったのですか?」

鏡で背中の様子を見ていると、Shalloutにも見られた。

「昼間 鞭打ちされたんだよ、アレ 本当に痛いんだよね……。

生身で打たれると この有様だ、Shalloutから見ても やはり傷口は酷いかい?」

「えぇ、救急箱を持って参りますね、いや、お医者様をお連れした方が……」

"打撲痕も多数おありで……" などとぶつくさ考え始めたShalloutはその場で慌てふためいている。

「大事にしないでくれ、私が恥ずかしいから。
包帯を巻くくらいでいいから、治療してくれるとありがたい。」

「畏まりました。
では、救急箱を持って参ります。」

Shalloutは出て行ったと思えば、直ぐに帰ってきた。

新しいタオルを渡されて それを口元に当てた。

呻き声を出してしまう自信がある。

そんなのは、折角治療を申し出てくれているShalloutに申し訳ない。

Shalloutは消毒薬を塗った後、傷が早く癒える薬を塗ってくれた。

「きっと直ぐに治りますよ。」

その上にガーゼを当ててから 包帯を巻いてくれた。

これじゃあ、散髪の後 風呂に入り治せないな……。
< 16 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop