16歳の春
高校生活


「もう、美夏!あんた何時だと思ってんの!?いい加減起きなさい」


ノックもせずドアを開けて来たのは、ママ。


「起きてるんだけど、あと勝手にドア開けないでって何回言ったら分かるの?」

「はいはい、わかりましたよ。ママもう仕事行くから、学校遅れずに行くのよ」

「うるさいな。わかってるよ」


階段を降りていく音がしママに邪魔されたメイクの続きをする。


自分でもわかってる。
私は今、反抗期真っ只中だ。


中学生の時は、友達が親を嫌う理由が分からなかった。
でも、今はわかる。
なんかうざいし、しつこいし、うるさい。
それが、親なんだって頭ではわかってる。
女で一つでここまで私を育ててくれたママにはいつも、ありがたいと思ってはいる。
思ってはいるけど、口にできない。
したくない。

そんなことを思っていたら、メイクが終わった。

新しい制服に着替えて、準備をし一階に降りた。


リビングには、私の天敵。お兄ちゃんがソファーに横になりながら、ゲームをしている。
私は無言で、キッチンに行きママが焼いてくれたであろう、、ホットケーキを準備した。

「あれー、なんで制服なんか着てんの?」

はい、きたぁぁぁー。
別によくね??
お前に関係なくね????
行ったとこで何なる??????
お前みたいな楽な大学生とはちげーんだよ!!
話しかけてくんなインキャ。

とでもいってやりたい。でも、我慢だ私!!


「聞こえてんの??あ、もしかしてもしかすると、今日って入学式とかいうやつ??」

お前わかってるなら、心にしまっておけよ。
いちいち、声に出すなインキャ。

「無視はよくないよね、みぃーちゃん!」

「お前さ、まじキモイから。わかってるなら別に声に出さなくていいよね?喋りたかったとかきもい答えは求めてませんので。あと、そのみぃーちゃんって呼ぶのキモイやめて。次言ったら、熱湯かけるよ」


溜まっていたものがでてしまった。

「みぃー。。美夏さ、今日なんで化粧いつもと違うの??」

あぁーホントきもい。

「みぃーちゃんは、今日入学式なんだぁ」
「美夏子さん、今日仕事だから一人で行くの?」
「答えがわかってる質問はなんでするのかなーーー」


兄は、いわゆるシスコン。
6歳も離れていれば、わからなくもないが。
それにしても異常すぎて、めんどくさい。


「俺が、お兄ちゃんが美夏の入学式ついて行く!」
やつは、ニコニコしながら言い放った。

だと思った。

「いえ、結構です。」
「よぉーし、スーツに着替えよーー。ネクタイどぉーこやったけなー」


聞こえてなかったのかなってぐらいに、ガン無視されてしまった。

そして、ニコニコしながら、奴が支度を始めた。

「あと、10分で終わらなかったら私一人で行くからね」


5分経過・・・・

「スーツ出しといてよかったぁー」

2階から奴が独り言をいっている。

「できた。完璧」

奴がそう言いながら、どどどどっと階段から駆け下りてきた。

「みぃーちゃん、お待たせ!終わったよ!」

こいつ、昨日から準備してたんじゃないかってぐらいに完璧。

「よぉーし、行くぞ!」


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