ロッカールーム
一種類だけじゃない
放課後、帰る準備をしていると花が視界の中に入って来た。


花はみじろきもせずじっと机に座っている。


周囲のみんなが帰っていく事にも気が付いていない様子だ。


あたしは少し迷ってから花に近づいた。


「花、大丈夫?」


ほんの少し良心が痛んでいたこともあり、あたしはそう声をかけた。


すると花はこちらを向いて「あたしはなにもしてない」と、強い口調で言い切った。


その目は真っ直ぐに人を射抜くような目で、あたしはたじろいてしまった。


花はすっかり落ち込んでしまっていると思っていたけれど、検討違いだったようだ。


「そっか」


あたしはひきつった笑顔でそう言った。


花はまだ何か言いたそうにしていたけれど、あたしは花から逃げるようにして教室を出たのだった。
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