ロッカールーム
出てこない
家に帰るといつものお父さんがそこにはいて、あたしは一瞬にして花の言葉を忘れていた。


お父さんはあたしたちのために夕飯を準備してくれていて、少し焦げた肉料理は頬が落ちるくらい美味しく感じられた。


「今日も旧校舎に行ってくるから」


ご飯を食べえた時サクがそう言った。


「今日も行くのか?」


「うん。だって、お母さんも外へ出してあげたいし」


あたしがそう返事をした。


今日は人を殺すほどのモヤを集める事はできていない。


だからお母さんをロッカーから解放することはできないかもしれない。


けれど、お父さんがこっちの世界に来てしまって、お母さんは寂しがっているはずだった。


数時間だけでも一緒にいてあげたかった。


「そうか。気を付けて行ってくるんだぞ」


お父さんはそう言ってほほ笑んだのだった。

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