ロッカールーム
「ねぇお母さん、明日は泣かないでよってお父さんに伝えておいてね」


泣かれると、こちらまでつらくなる。


おかげで昨日はお父さんの顔をしっかりと見ないままだったのだ。


「わかった。ちゃんと伝えておくね」


それからあたしたちは他愛のない会話をした。


学校の様子や、お婆ちゃんの様子。


お父さんとお母さんが天国でも仲良くしていて、あたしたちを見守ってくれていることもわかった。


心が温かくなる素敵な時間だった。


時計を確認するとあと10分ほどで3時になるところだった。


今日も1時間はあっという間だった。


そう思い、ため息を吐き出す。


「元気がないけど、どうしたの?」


お母さんにそう言われてあたしはハッと顔を上げた。
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