ロッカールーム
「あれ、あたしの体操着じゃないよね?」


未来が誰ともなくそう聞いた。


けれど誰も返事ができなかった。


その可能性があると思っているから『大丈夫だよ』とも、声をかけることができない。


未来の眉が見る見る吊り上がっていく。


こんなタイミングで戻ってくる必要なんてなかったのに、花は体育館に戻ってきてしまった。


雨でびしょびしょに濡れた状態で、息を切らしている。


しかしそんな花にねぎらいの声をかける生徒は1人もいなかった。


みんな花の体操着を見ている。


泥にまみれた下から未来の名前が透けて見えている。


未来の肩が大きく震えた。


「あんた。なにしてんの?」


未来が怒りに震える声でそう言いながら、花に近づいた。
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